ホテルロビーに誇らしげに吊り下げられた「ザ・パクト（The Pact）」は、連帯意識にインスピレーションを得たGraceによる構造作品です。
ファッションデザインをルーツとするGrace Tanは、多分野で活躍するアーティストであり、「クウォドレント（Kwodrent）」の創業者です。
「ヤング・アーティスト賞」受賞歴を誇る多分野で活躍するアーティストであり、多数の展示を成功させてきたGraceは、一見控えめな印象を与えるかもしれません。しかしアートのことになると、その構造から素材、形に至るまで、純粋で情熱的なエネルギーが解き放たれます。Graceが言うには、彼女のクリエイティブな活動を方向づけたのは、素材への愛だったそうです。しかし、彼女の好奇心をそそるのは素材そのものではありません。それは、いかに素材の起源や伝統、文化的重要性が一体となってアート作品に意味を吹き込むかなのです。
「ザ・パクト」では、多くの異なる部分が集まって
一つのまとまりある物語を生み出すというアイデアにインスピレーションを得ました。」
「ザ・パクト」は、ザ クラン ホテルのコンシェルジュデスク上部から吊り下げられた概念的な傑作です。
長年にわたる活動期間において、様々なギャラリー経営者、学芸員、および同業のアーティスト達からの支援を受けたGraceにとって、コミュニティは馴染み深いものです。実際、FOSTギャラリーの創業者であり長期にわたりGraceの作品を展示・販売しているStephanie Fongなどの人々との出会いにより得た機会なしには、彼女に現在の成功はなかったことでしょう。
長年Graceと一緒に仕事をしてきたStephanieは、しばしば彼女のアート作品について理性的な意見をくれる人物でもあります。
Graceがまだ駆け出しの頃、Stephanieは、彼女が布地で制作した衣服の作品からその才能を見抜き、彼女の可能性を確信しました。StephanieはGraceのアート作品に異なる視点を与える一方、彼女がクリエイティブな探求を続けるよう励ましたのです。真の友情というものは、一人がもう一人のために結婚式の衣装をデザインする時に形成されることを皆さんもご存じでしょう。彼女達は互いに何が一番相手のためになるかを常に考えて行動しており、それを互いに理解していました。このことこそが彼女達を強い絆で結んだのです。
Graceがザ クラン ホテルのモットーである「共にあればより強くなれる（stronger together）」という言葉を最初に読んだ時に、「コミュニティ」という抽象的な概念を何か形のあるもので表現したいと思った理由がここにあります。彼女は何年か前のクラン・アソシエーションでのことを思い出しました。家族のような絆に関するみんなの感動的な物語、そして自身のコミュニティでの個人的な体験からインスピレーションを得たのです。
「新しい空間に足を踏み入れ、アート作品を眺め、
それが何を意味するのかを思案してインスピレーションを得るのを想像してみて下さい」
コンシェルジュデスク上部に吊るされた「ザ・パクト」は、ゴールデン・ベンチャーと呼ばれる折り紙の手法にインスピレーションを得た構造作品です。この幾何学的な折り紙の技術は、テロック・アイヤー地区に定住した移民達と同じように異国の地にたどり着いた中国系移民のグループが生み出したもので、様々な人々が集まって一体となって美しいハーモニーを奏でることを表す優れたメタファーです。
ザ クラン ホテル・シンガポールにご滞在の際には、この作品をチェックするのをお忘れなく。
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ザ クラン ホテルの天井からぶら下がる「ザ・パクト」
Graceはアジア文明博物館やシンガポール・ビエンナーレなどの国内のアート機関の他、ベルリン、香港、日本などの海外のパートナーともコラボレーションを行ってきました。さらにGraceは、2012年には「プレジデント・デザイン賞」、2013年には「ヤング・アーティスト賞」を受賞しました。
